コラム・お話
- 生前贈与の相続税加算が現行3年から7年へ
- 生前贈与を行う際の相続税の加算期間について、7年を軸に広げる方向で政府が調整に入ったという報道がありました。<div>相続税の課税対象とする期間を広げることで、資産移転を促すことが狙いのようです。 <div><br></div><div>暦年贈与は年間110万円までは贈与税がかかりませんが、現在の制度では、相続開始「3年」前までは相続人が受けた贈与は相続税の対象になります。 <br></div><div><br></div><div>この「3年」の期間を「7年」にしようというのが今回の政府の方針です。</div><div><br></div><div>これにより、相続税対策として、暦年贈与で毎年110万円資産を移動させても、被相続人の死亡前7年までのものは課税されてしまいます。</div><div><br></div><div>政府は、税負担を軽減しようと前倒しで生前贈与を行う動きが進むことを期待しています。</div><div><br></div><div>一方、相続時精算課税制度については、額にかかわらず税務署への申告が義務づけられていますが、少額の贈与の場合には申告不要とする方向で調整が進められています。<br></div></div>
- 相続人のひとりが行方不明で連絡が取れないとき
- 被相続人が亡くなって相続が開始したけれど、相続人のひとりの消息が分からず行方不明となっている場合についてです。<div><br></div><div>兄弟で兄(または弟)が家を出ていったきり連絡がつかない、といったことは稀にあるかと思います。</div><div>そのような場合、遺産分割協議ができませんので、権利行使や財産の保護が図れないとなって相続手続きが放置されたりします。</div><div><br></div><div>こういったケースでは、まず家庭裁判所に不在者財産管理人の選任審判の申立てを行います。</div><div>申立てできるのは、共同相続人などの利害関係人で、不在者の従来の住所地または居所地を管轄している家庭裁判所に申立てます。</div><div><br></div><div>不在者財産管理人が選任されると、不在者財産管理人を加えて遺産分割協議が行えます。</div><div><strong>ただし、遺産分割協議は不在者財産管理人の権限外の行為になるので、不在者財産管理人は予め家庭裁判所に許可審判を得ておこなければなりません。</strong></div><div><br></div><div>また、7年間生死が明らかでない場合には、失踪宣告の申立ても検討すべきです。</div><div>失踪宣告を申立て、確定すると不在者は失踪期間満了のときに死亡したものとみなされます。</div><div><br></div><div><br></div><div>【民法25条】に不在者の財産の管理について規定されています。</div><div>それによると、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができるとされています。</div><div>ここでいう利害関係人とは、<strong>不在者の配偶者,相続人にあたる者,債権者など</strong>が該当します。</div><div><br></div> <div>不在者財産管理人が遺産分割協議に加わる場合、不在者に代わって不在者財産管理人が「相続人〇〇〇〇不在者財産管理人△△△△」のように遺産分割協議書に署名押印します。こうして作成された遺産分割協議書によって、相続に関する登記や銀行手続きを行うことができるようになります。</div><div><br></div><div><br></div><div>【民法30条】(失踪の宣告)</div><div>不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。 <br></div><div><br></div><div>利害関係人とは、重大な法律上の利害関係を有する者と解され、<strong>不在者の配偶者、父母、、相続人、受遺者等</strong>が該当し、債権者、債務者は含まれません。<br></div><div>家庭裁判所とは、<strong>不在者</strong>の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所です。</div><div><br></div><div>失踪宣告の申立てを受けた家庭裁判所は、調査のうえ公告を行い、公告期間が経過すると失踪の宣告の審判を行い失踪宣告が確定します。<br></div><div>これにより、<strong>不在者は失踪期間満了の時に死亡</strong>したものとみなされます。</div><div><br></div><div><br></div><div>【戸籍法94条】失踪届に関する規定です。</div><div>失踪宣告の申立人は、失踪宣告が審判確定してから10日以内に失踪届を出さなければなりません。</div><div>届出先は、失踪宣告を受けた者の本籍地または届出人(申立人)の所在地の市町村役場となります。</div>
- 養子縁組による節税
- 養子縁組は節税効果がある、ということを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。<div><br></div><div>これは、養子を取る(例えば孫を養子にする)ことによって法定相続人が増えるため、相続税の基礎控除額が養子の分が加算されることと、相続税の算出方法が、養子を含めた共同相続人全員が法定相続分に従って遺産を取得するものとして計算されることによる効果です。</div><div><br></div><div>しかし、節税を考えての養子縁組はすべきではないと考えます。</div><div><br></div><div>まず、養子縁組は法定相続分が変更されることになりますので、あからさまに節税目的だった場合、他の推定相続人が反発することが予想されます。</div><div>これをきっかけに今まで揉める要素がなかった関係が壊れて相続人同士の紛争になることもあるでしょう。</div><div><br></div><div>また、節税目的の養子縁組は、養子縁組制度の本来の意図とは異なるため、裁判で争った場合無効と判断される可能性もあります。</div><div><br></div><div>そして、そもそも養子となる者の気持ちの問題もあります。</div><div><br></div><div>おおよその試算ですが、遺産が1億円だったとして、相続人が2人のところに養子を取った場合、140万円程度の節税効果にしかなりません。</div><div><br></div>
- 意外に忘れがち 準確定申告
- <div>相続人となった場合、相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)については意識している人は多いようです。</div><div><br></div><div>一方、忘れがちなのが「準確定申告」です。</div><div><br></div><div>準確定申告とは、相続人が亡くなった被相続人に代わって所得税の確定申告を行うものです。</div><div>そして申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内とされていますので、うっかりしていると相続開始後すぐに期限がやってきます。</div><div><br></div><div></div><div>しかし、準確定申告は全ての場合に行わなければならないわけではありません。<br></div><div><br></div><div></div>会社で年末調整されている場合や、1年間の年金受給額が400万円以下の場合、会社員の副業などのその他収入が20万円以下の場合には準確定申告は不要です。<div><br></div><div><br></div><div><div>準確定申告は、相続人が行わなければならない手続きです。</div><div>相続開始日から4ヶ月以内に被相続人の住所地の税務署に提出します。</div><div>税務署に提出する申告書類を揃えるには相続人全員の協力が必要になります。</div><div>不明点や不安がある場合は、専門家へ相談することをお勧めします。</div> <br><div><br></div> </div>
- 不要な土地を相続したらどうすればいいのか
- <div><span style="font-weight:normal">令和5年4月27日から相続土地国庫帰属制度が始まります。</span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal">不動産を相続した方からよく聞く話ですが、買い手が付きそうにない土地だったり、利用価値が低い土地だったり、住んでいるところから遠いなどの理由で相続した土地を処分したいという方がいらしゃいます。</span></div><div><br></div><div>このような土地について、国が国庫に帰属させるのがこの制度です。</div><div><br></div><div><span style="font-weight:normal">相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能となります。 <br></span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal">手続きとしては、</span></div><div><span style="font-weight:normal">土地を取得した相続人・受遺者が法務局に承認の申請を行います。</span></div><div><span style="font-weight:normal">法務局は申請を受けて、審査を行い一定の要件をクリアしてるときには国庫への帰属を承認します。</span></div><div><span style="font-weight:normal">承認を受けた方が、一定の</span>負担金を国に納付<span style="font-weight:normal">した時点で</span><span style="font-weight:normal">土地の所有権が国庫に帰属します。</span> <br></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal">負担金(10年分の土地管理費相当)が必要になりますが、所有し続けた場合の負担や管理費・固定資産税等を勘案して検討すべきでしょう。</span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal">あと、地上に建物が建っている場合は要件に該当しないなど、細かく要件が規定されていますので制度の利用にあたっては確認が必要です。</span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal">法務省ホームページ https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html </span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div><div><span style="font-weight:normal"><br></span></div>
- 相続対策としての贈与(2)
- 相続税対策としては、夫婦間で贈与することも効果が見込めます。<div>後に残される配偶者の生活保障という意味でも活用できるものです。</div><div><br></div><div>贈与税には配偶者控除の特例があります。</div><div>婚姻期間が20年以上である配偶者への居住用不動産または居住用不動産取得用の金銭の贈与には、課税価格から最高2,000万円の控除を受けることができるというものです。<br></div><div><br></div><div>▶︎この配偶者控除の適用については、生前贈与加算の対象になりません。(「生前贈与加算」とは、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象となることをいいます)</div><div><br></div><div>▶︎婚姻期間が20年以上の夫婦であることが必要です。</div><div><br></div><div>▶︎相続時に小規模宅地等の特例が受けられなくなるので、事前に専門家に相談するなど検討する必要があります。</div><div><br></div>
- 相続対策としての贈与(1)
- 相続対策として、生前贈与を利用する方法をご紹介します。<div><br></div><div>今回は一般的にご存知の方も多い暦年課税制度を利用した贈与についてです。</div><div><br></div><div>贈与によって取得した財産は、1年間で110万円の基礎控除枠があり、110万円を超えた額について贈与税が課されます。</div><div>つまり、110万円以下の贈与であれば贈与税が課されないので、これを利用して毎年贈与を行い相続時の財産を減らすことができます。</div><div>10年間に渡って110万円ずつ贈与すれば1,100万円を無税で贈与することが可能です。</div><div><br></div><div>また、贈与税は贈られた側に課税されるので、与えた側はいくら贈与しても贈与税は課されません。</div><div>複数人に対して贈与することも可能です。</div><div>例えば3人に対して110万円ずつ贈与すれば、年間330万円の財産を移動させることができます。</div><div><br></div><div>以下注意点です。</div><div><br></div><div>・1年の起算は1月1日から12月31日です。</div><div>・複数の人から贈与を受けた場合、受取った額の合計が110万円を超えたら贈与税が課税されます。</div><div>・110万円を超える贈与を受けた人は、翌年の2月1日から3月15日までに申告を行わなければなりません。</div><div>・贈与者が亡くなって相続が開始すると、相続開始前3年以内の贈与分は相続税の課税対象となります。(生前贈与加算)</div><div>・暦年贈与ということがわかるように「1年毎に」贈与契約書を取り交わしておくと良いです。</div>
- 遺言書を見つけたとき
- 亡くなった家族の遺言書を見つけた場合、どうすればいいでしょうか。<div><br></div><div>まず、通常目にするであろう遺言書は、公正証書遺言または自筆証書遺言のどちらかでしょう。</div><div><br></div><div>公正証書遺言は、公証役場で作成されたもので、遺言者の意思に沿って作成した公証人の印鑑が押されており、ワープロ打ちされています。</div><div>この公正証書遺言の正本や謄本を見つけた場合には、それについて手続きは必要ありません。</div><div>遺言に従って遺産を分割できますし、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が遺言の内容を実現することになります。</div><div><br></div><div>自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を遺言者が自書・押印したものです。</div><div>これを発見した場合には、家庭裁判所で「検認」の審判が必要になります。</div><div>「検認」の審判を受けなかった場合には、不動産の相続登記や銀行口座の名義変更・解約の手続きが行えないなどの不都合が生じたり、過料の制裁もありますので、必ず家庭裁判所で検認を受けるようにしましょう。</div><div><br></div><div>また、封印がされている自筆証書遺言を発見したときには、開封せずに家庭裁判所に検認を申し立てましょう。封がされている自筆証書遺言は家庭裁判所において相続人または代理人の立会いがなければ開封できないからです。</div><div>誤って開封してしまっても遺言が無効になることはありませんので、そのままの状態で検認を請求してください。</div><div><br></div><div>遺言書を見つけたときや遺言執行に不安があるときは、悩まずに専門家に相談することをお薦めします。</div><div><br></div>
- 生命保険の保険金を受け取った場合【相続】
- <div>相続に関連して、生命保険の保険金の受取人となっていることがあるかと思います。</div><div>保険金を受け取ったとき、相続税が課税される場合があります。</div><div><br></div><div>死亡保険金は相続財産ではありません。</div><div>相続財産ではないので、遺産分割の対象とはなりません。</div><div>しかし、税金の面では死亡保険金は「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象となります。</div><div>死亡保険金を受け取ったのが相続人の場合、【500万円×法定相続人の数】までは非課税ですが、それを超える額については相続税が課税されます。</div><div>相続人以外の方が保険金の受取人となっていた場合には、この控除枠は使えません。</div><div><br></div>なお、死亡保険金は相続が開始した日の翌日から3年を経過すると請求できなくなります(時効)ので、請求忘れがないよう注意が必要です。
アクセス方法
【市営地下鉄】東山線「新栄」より徒歩5分または、東山線・名城線「栄」より徒歩10分
【名鉄瀬戸線】「栄町」より徒歩10分 【市営バス】バス停「東新町」より徒歩1分