相続人のひとりが行方不明で連絡が取れないとき
被相続人が亡くなって相続が開始したけれど、相続人のひとりの消息が分からず行方不明となっている場合についてです。
兄弟で兄(または弟)が家を出ていったきり連絡がつかない、といったことは稀にあるかと思います。
そのような場合、遺産分割協議ができませんので、権利行使や財産の保護が図れないとなって相続手続きが放置されたりします。
こういったケースでは、まず家庭裁判所に不在者財産管理人の選任審判の申立てを行います。
申立てできるのは、共同相続人などの利害関係人で、不在者の従来の住所地または居所地を管轄している家庭裁判所に申立てます。
不在者財産管理人が選任されると、不在者財産管理人を加えて遺産分割協議が行えます。
ただし、遺産分割協議は不在者財産管理人の権限外の行為になるので、不在者財産管理人は予め家庭裁判所に許可審判を得ておこなければなりません。
また、7年間生死が明らかでない場合には、失踪宣告の申立ても検討すべきです。
失踪宣告を申立て、確定すると不在者は失踪期間満了のときに死亡したものとみなされます。
【民法25条】に不在者の財産の管理について規定されています。
それによると、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができるとされています。
ここでいう利害関係人とは、不在者の配偶者,相続人にあたる者,債権者などが該当します。
不在者財産管理人が遺産分割協議に加わる場合、不在者に代わって不在者財産管理人が「相続人〇〇〇〇不在者財産管理人△△△△」のように遺産分割協議書に署名押印します。こうして作成された遺産分割協議書によって、相続に関する登記や銀行手続きを行うことができるようになります。
【民法30条】(失踪の宣告)
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
利害関係人とは、重大な法律上の利害関係を有する者と解され、不在者の配偶者、父母、、相続人、受遺者等が該当し、債権者、債務者は含まれません。
家庭裁判所とは、不在者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所です。
失踪宣告の申立てを受けた家庭裁判所は、調査のうえ公告を行い、公告期間が経過すると失踪の宣告の審判を行い失踪宣告が確定します。
これにより、不在者は失踪期間満了の時に死亡したものとみなされます。
【戸籍法94条】失踪届に関する規定です。
失踪宣告の申立人は、失踪宣告が審判確定してから10日以内に失踪届を出さなければなりません。
届出先は、失踪宣告を受けた者の本籍地または届出人(申立人)の所在地の市町村役場となります。
アクセス方法
【市営地下鉄】東山線「新栄」より徒歩5分または、東山線・名城線「栄」より徒歩10分
【名鉄瀬戸線】「栄町」より徒歩10分 【市営バス】バス停「東新町」より徒歩1分